みんな大好きカツカレー!いったい誰がカレーにトンカツを乗せたのか?

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カレーライス。

美味しいですよね。

トンカツ。

これも美味しい。

だったら、

一緒にしちゃえばもっと美味しいんじゃない?

という、なんとも分かりやすい発想から生まれたように見えるのが、

カツカレー!

サクサクのトンカツ。

熱々のご飯。

そして濃厚なカレー。

カレーを吸って少ししんなりした衣も美味しい。

福神漬を途中で挟んで、またカツ。

いや~、

嫌いな人いるんでしょうか(笑)。

カレーだけでも一食として成立しているのに、そこへトンカツを一枚ドーン!

カロリー?

そんなものは食べている最中には考えません(笑)。

ところで、このカツカレー。

いったい誰が、

「カレーの上にカツを乗せよう!」

と思いついたのでしょう?

今回は、みんな大好きカツカレーの歴史を調べてみます。

そもそもカレーは日本料理ではなかった

カツカレーの話をする前に、まずはカレー。

日本人にとっては、

カレーライス。

ラーメン。

寿司。

みたいな感じで、すっかり日常の食べ物ですよね。

でも当然ながら、もともとは日本にカレーという料理はありません。

日本にカレーが伝わったのは、

明治時代。

ただし面白いのは、

インドから直接現在の日本式カレーが伝わったわけではないこと。

インドのスパイス料理がイギリスへ渡り、イギリスで小麦粉などを使った、とろみのある料理へ変化。

それが西洋料理として日本へ入ってきました。

つまり、

インド→イギリス→日本。

そして日本へ来てから、

ご飯に合うように独自の進化を遂げます。

現在の、

じゃがいも。

にんじん。

玉ねぎ。

肉。

そしてトロッとしたルー。

という日本式カレーが出来上がっていったんですね。

今ではもう、

立派な日本の国民食。

政府広報でも、日本で一般的なカレーライスは独自に発展した「日本料理」といえる、と紹介されています。

そしてもう一人の主役「トンカツ」

一方のトンカツ。

こちらも面白い料理です。

もともとは西洋料理の、

カツレツ。

肉に衣をつけて油で調理する料理が日本へ入ってきました。

ところが日本人はこれも魔改造します(笑)。

豚肉を厚くする。

パン粉をつける。

たっぷりの油で揚げる。

包丁で食べやすく切る。

キャベツを添える。

箸で食べる。

ソースをかける。

こうして西洋のカツレツとはかなり違う、

日本の「トンカツ」

が出来上がっていきました。

つまり、

カレーライスも西洋から来て日本化。

カツレツも西洋から来て日本化。

この二つが日本で出会った。

それが、

カツカレー。

考えてみれば、

「日本式洋食×日本式洋食」

なんですね。

カツカレーの元祖は銀座スイス?

カツカレー発祥の店として最も有名なのが、

東京・銀座の洋食店、

銀座スイス。

創業は1947年(昭和22年)。

そして翌年の、

1948年(昭和23年)。

ここでカツカレーの歴史に残る出来事が起きます。

登場する人物は料理人ではありません。

なんと、

プロ野球選手。

当時、読売巨人軍で活躍していた、

千葉茂選手

です。

「カレーライスにカツレツを乗っけてくれ!」

千葉茂さんは銀座スイスの常連客でした。

カレーライスも好き。

カツレツも好き。

ある巨人・阪神戦の前、腹が減っていた千葉さんは、

「たくさん食べたい」

「早く食べたい」

「ガツンと食べたい」

と思った。

そこで店に頼んだのが、

「カレーライスにカツレツを乗っけてくれ!」

今なら、

「はい、カツカレーですね」

で終わる話です。

でも当時は違います。

銀座スイスによると、その頃は、

カレーに何かをトッピングするという発想自体が一般的ではなかった

そうです。

店の人も、

「カレーにカツレツを!?」

と驚いた。

でも作ってみた。

そして千葉さんが食べる。

旨い。

しかもボリューム満点。

これが評判になり、店の人気メニューになっていった。

これが、

銀座スイスに伝わるカツカレー誕生物語

です。

しかも野球選手らしい理由がもう一つ

千葉茂さんがカツレツを好んだ理由には、

もう一つ面白い話があります。

「カツ=勝つ」

です。

試合に勝つ。

だからカツを食べる。

日本人が大好きな験担ぎですね(笑)。

千葉さんは試合前にもカツレツを食べていたそうです。

カレーでエネルギー。

カツレツでボリューム。

そして、

カツを食べて試合に勝つ!

プロ野球選手にはぴったりの料理だったのでしょう。

ちなみに千葉茂さん。

野球好きなら知っている方もいると思いますが、巨人の名二塁手として活躍した名選手です。

のちに長嶋茂雄さんが背番号「3」をつける以前、その3番を背負っていた選手でもあります。

そんな野球界のスターが、

カツカレー誕生に関わっていた。

これだけでも面白い話ですよね。

当時のカツカレーはかなりのご馳走だった!

銀座スイスによると、当時の「カツレツ・カレー」は、

180円。

「180円?安いじゃん」

と思ってはいけません(笑)。

昭和24年ごろの銀行員の初任給が、

約3,000円

だった時代です。

単純に現在のお金へ換算できるものではありませんが、かなりのご馳走だったことは想像できます。

現在のように、

「昼飯カツカレーでいい?」

という気軽な料理ではなかったんですね。

カレーもご馳走。

カツレツもご馳走。

その二つを一皿に乗せる。

そりゃ豪華です。

いわば、

洋食界の夢の合体!

だったわけです。

ところが!銀座スイスより前にもカツ+カレーがあった

さて。

ここで話がややこしくなります。

「1948年に銀座スイスでカツカレー誕生!」

と終われば分かりやすい。

ところが調べてみると、

もっと前からカツとカレーを一緒に食べていた店がある。

その代表が、

浅草の、

河金(かわきん)。

創業はなんと、

1918年(大正7年)。

銀座スイスより30年も前です。

浅草「河金丼」とは?

河金は、もともと洋食の屋台から始まったお店。

そこで生まれたとされるのが、

河金丼。

ご飯。

キャベツ。

トンカツ。

そして、

カレー。

……。

ちょっと待ってください。

それ、

ほぼカツカレーじゃないですか(笑)。

河金では、お客さんから、

「トンカツの上にカレーをかけてくれ」

と頼まれたことから、この料理が生まれたと伝えられています。

つまり、

カツ+ご飯+カレー

という組み合わせそのものなら、銀座スイス以前にも存在していた可能性が高いんです。

大宅壮一文庫の調査でも、河金丼はカツカレーの原型の一つとして紹介されています。

新宿「王ろじ」にもカレー+トンカツ

さらにもう一軒。

東京・新宿の老舗洋食店、

王ろじ。

創業は、

1921年(大正10年)。

こちらにも、

「とん丼」

という料理があります。

カレーとトンカツを組み合わせた料理で、これまた現在のカツカレーにかなり近い。

つまり戦前から東京では、

「カレーとトンカツ、一緒にしたら旨いよね」

という発想が、すでにいくつか存在していたようなんです。

まあ、考えてみれば、

カレーがある。

トンカツがある。

同じ洋食屋にある。

だったら、

いつか誰かが一緒にしますよね(笑)。

では結局、カツカレーの元祖はどこ?

これが歴史の面白いところ。

何をもって、

「カツカレー」

とするのかによって答えが変わります。

カツとカレーを同じ皿・丼で食べた料理の原型なら、

浅草・河金の「河金丼」

などが先行例として挙げられます。

一方、

現在私たちがイメージする、

「カツカレー」という料理・名称を全国へ広めた元祖

として非常に有名なのが、

1948年の銀座スイス。

ですから、

「誰が史上初めてカツとカレーを一緒にしたのか」

と、

「現在のカツカレーの元祖はどこなのか」

は、少し分けて考えたほうがよさそうです。

食文化の「元祖」って、こういう話が本当に多いんですよね。

カレーをカツにかける?それとも横にかける?

そしてカツカレーには、

非常に重要な問題があります。

カレーをどこにかけるか問題。

カツの上から、

ドバーッ!

と全部かけるタイプ。

カツの半分だけカレーをかけるタイプ。

カツとカレーを左右に分けるタイプ。

カレーの上にカツを完全に乗せるタイプ。

これ、

好みが分かれますよね。

カツのサクサクを楽しみたい人は、

「全部かけるな!」

と言う。

一方、

カレーが染み込んだ衣こそ旨いという人は、

「全部かけてくれ!」

と言う。

私は……

半分くらいが好きです(笑)。

最初はサクサク。

途中からカレーを絡ませる。

一皿で二度美味しい。

カツカレーは「カレー」なのか「トンカツ」なのか?

これも考えると面白い。

カツカレーを注文するとき、

我々は、

カレーを食べたいのでしょうか?

それとも、

トンカツを食べたいのでしょうか?

カレー屋さんで注文すれば、

カレーが主役でカツがトッピング。

トンカツ屋さんで食べれば、

立派なトンカツにカレーが添えられている。

洋食屋なら、

どちらも主役。

同じカツカレーなのに、

店によって主従関係が変わります。

これがカツカレーの面白いところです。

カツカレーはなぜこんなに満足感がある?

これは単純です。

炭水化物+脂+肉+カレー。

強い(笑)。

ご飯の甘み。

カレーのスパイス。

豚肉の旨味。

揚げた衣の香ばしさ。

油のコク。

それを全部一口で食べられる。

カレーだけだと少し物足りない。

トンカツ定食ほどソース気分でもない。

そんなとき、

カツカレーという第三の選択肢

が現れる。

しかも一皿料理なので、豪快に食べられる。

千葉茂さんが、

「たくさん、早く、ガツンと食べたい」

と考えたという話。

実際にカツカレーを見ると、

非常によく分かります(笑)。

カツカレーは験担ぎ料理にもなった

先ほども出てきた、

カツ=勝つ。

この語呂合わせのおかげで、カツ料理は日本ではすっかり験担ぎ料理になりました。

受験。

スポーツ。

選挙。

大事な仕事。

試合。

「明日は勝負だからカツを食べよう!」

なんて言いますよね。

そこへカレーまで加わったカツカレーなら、

エネルギーも満点。

ただし大事な試合や試験の直前に食べすぎて、

胃がもたれて負けないようにしてください(笑)。

験担ぎもほどほどに。

家庭へ広がったカレー文化も大きかった

戦後になると、日本のカレーはさらに家庭へ広がります。

1950年代には即席カレーが普及し、

1959年には固形カレールウ

が登場。

1960年代には甘口の商品も広まり、

1969年にはレトルトカレーも登場します。

家庭でカレーを作ることが、どんどん簡単になっていきました。

昨日のカレーが残っている。

スーパーでトンカツを買ってくる。

乗せる。

はい、

カツカレー完成。

これもカツカレーが国民食になった大きな理由でしょう。

学食・社員食堂・サービスエリアにもカツカレー

そしてカツカレーは、

高級洋食店だけの食べ物ではなくなります。

学生食堂。

社員食堂。

町の食堂。

そば屋。

カレー専門店。

高速道路のサービスエリア。

ゴルフ場。

昔ながらの喫茶店。

いろいろな場所へ進出。

個人的には、

サービスエリアのカツカレーって妙に食べたくなるんですよね(笑)。

別にそこでしか食べられないわけではない。

でも券売機に、

「カツカレー」

とあると押したくなる。

そして出てきた大きな皿を見て、

「ちょっと多かったかな」

と思いながら、

結局全部食べる(笑)。

これぞカツカレーです。

そば屋のカツカレーも侮れない

そして個人的に気になるのが、

そば屋のカレー。

和風だしの効いた黄色っぽいカレー。

そこへカツ。

これも旨い。

洋食屋の欧風カレーとはまったく違います。

カレー専門店ならスパイス。

洋食屋ならデミグラス的なコク。

そば屋なら和風だし。

同じカツカレーでも、

カレー部分だけで全然違う料理になる。

だから食べ飽きないんでしょうね。

海外では「KATSU CURRY」が日本食に

そして今や、

KATSU CURRY

は海外でも知られる日本食になっています。

特にイギリスでは「katsu curry」という名前が広く知られるようになりました。

面白いのは、海外では「katsu」という言葉が、本来の日本語の「カツ」より広い意味で使われる場合があること。

パン粉をつけたチキンなどに日本式カレーソースを合わせた料理も、

「Katsu Curry」

として提供されています。

日本人からすると、

「いや、それはチキンカツカレーでしょ!」

と言いたくなりますが(笑)。

料理は外国へ渡ると、

またそこで独自に進化します。

インドからイギリスへ。

イギリスから日本へ。

日本でカレーライスになり、

トンカツと合体。

そして今度は、

KATSU CURRYとして再び海外へ。

カレー、ずいぶん長い旅をしています。

カツカレーは「日本の洋食」の完成形かもしれない

考えてみると、

カツカレーほど日本の洋食文化を象徴する料理もありません。

カレーは海外から来た。

カツレツも海外から来た。

日本人はその両方を、

日本人好みに変えてしまった。

そして最後には、

二つを一つの皿に乗せてしまった。

海外料理をそのまま再現するのではなく、

ご飯に合うように変える。

箸でも食べられるように変える。

もっとボリュームを出す。

そして組み合わせる。

ナポリタン。

オムライス。

ハンバーグ。

コロッケ。

ドリア。

日本の洋食には、

「外国っぽいけれど外国にはそのまま存在しない料理」

がたくさんあります。

カツカレーも、

まさにその代表でしょう。

「誰が最初?」より「よくぞ一緒にしてくれた!」

というわけで、

カツカレーの始まり。

現在もっとも有名な物語は、

1948年、銀座スイス。

巨人軍の千葉茂選手が、

「カレーライスにカツレツを乗っけてくれ!」

と注文したことから生まれたというものです。

一方で、それより30年前の浅草・河金には、

「河金丼」

というカツとカレーを組み合わせた料理があった。

新宿・王ろじにも「とん丼」がある。

だから、

「世界で最初にカレーとカツを合わせたのは絶対にこの人!」

とは簡単には言えません。

でも……

そんなことより、

誰だか分からないけど、最初に一緒にしてくれた人ありがとう(笑)。

これに尽きます。

カレーだけでも旨い。

トンカツだけでも旨い。

それを一皿にして、

もっと旨くする。

なんとも日本人らしい食べ物です。

次にカツカレーを食べるとき、

カレーの染みた衣を一口食べながら思い出してください。

この一皿には、

明治のカレー文化。

日本の洋食文化。

大正時代の浅草。

戦後の銀座。

そしてプロ野球。

意外なほど長い歴史が詰まっています。

……なんて話をしましたが、

目の前にカツカレーが来たら、

歴史なんか考えずに、

熱いうちに食べるのが一番です(笑)。

そして最後に残る問題は、

カツにカレーを全部かけるのか。

半分だけかけるのか。

それともサクサクを守るのか。

この論争については、

また別の記事にしましょう(笑)。

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